住宅ローンの借り換えには時間がかかることは分かっていました。
私たちは子どもの入学への影響を考え、4月に離婚する予定で話を進めていました。そのため、離婚が成立するまでは私がローンを支払い、その後、借り換えが完了するまでは妻が支払うという約束をしていました。
しかし、実際にはその約束どおりには進みませんでした。
借り換えはいつ終わるのか。
今どこまで進んでいるのか。
分からないまま時間だけが過ぎていき、不安を感じる日もありました。
途中からは私自身も銀行へ確認し、手続きの流れを把握しながら進めることになります。
結果として、自分から銀行へ確認したことが、その後の手続きを前に進めるきっかけになりました。
この記事では、私が実際に経験したペアローン解消の流れと、その中で感じたこと、そして学んだことを書いていきます。
ペアローンは離婚しても終わらない|まず知っておきたい基本知識
私たちの家はペアローンで購入しました。
ペアローンとは、夫婦それぞれが住宅ローンを契約し、お互いの連帯保証人となって住宅を購入する契約方法です。
収入を合算することで借入額を増やせるメリットがありますが、離婚したからといってローン契約が自動的に終了するわけではありません。
そのため、離婚後は住宅を売却するのか、どちらか一方が住み続けるのか、借り換えを行うのかなど、それぞれの状況に応じて手続きを進める必要があります。
私たちの場合は、妻がそのまま家に住み続けることになりました。
銀行からも妻単独で住宅ローンを組めるという判断を受けていたため、妻名義へ借り換える方法を選び、公正証書にもその内容を記載しました。
借り換えには時間がかかることは理解していました。そのため、離婚が成立するまでは家を出ていても私はローンを支払い、離婚成立後、借り換えが完了するまでの私の支払いは私が立て替えて後で妻からもらう約束になっていました。
私は、その約束どおりに手続きが進めば、4月以降は一時的に立て替えて支払うことがあっても、後から元妻から支払われるため、実質的な私の負担は終わるものだと思っていました。
しかし、実際には約束どおりには進まず、不安や戸惑いを感じる出来事が続くことになります。
その経験を通して、私は口約束や公正証書、そして自分でも状況を確認することの大切さを学ぶことになります。
財産分与をしなかったこと
私たちは、住宅だけでなく財産分与そのものを行いませんでした。
ここだけ読むと、「なぜ財産分与をしなかったのだろう」と思われるかもしれません。
その背景には、夫婦関係が悪化するまでのさまざまな経緯がありました。そして最終的には、私の不貞行為が発覚したことで、離婚するためには相手が提示した条件を受け入れるしかないと考えました。
※その決断に至るまでの経緯や、離婚を受け入れることになった理由については、こちらの記事で詳しく書いています。
→「離婚を決断した日」
そのため、住宅についても妻が引き継ぐこと、公正証書に記載された内容についても、自分で納得したうえで署名しました。
正直に言えば、今振り返ると複雑な気持ちはあります。
マンションは購入当時より大きく価値が上がっていました。夫婦で築いた財産も大きかった。そのことを考えると、「本当にこれで良かったのだろうか」と思う瞬間が今でもあります。
それでも、あのときの私は、自分なりに考えたうえでその選択をしました。
だからこそ、今さら「あのときこうしておけば良かった」と後悔しても意味はありません。
あのときの自分が選んだ結果として受け止め、この経験をこれからの人生に生かしていきたいと思っています。
話し合いの約束と、公正証書の解釈は違っていた
離婚届は、子どもの入学に万が一にも影響が出ないよう、4月に提出する予定で話を進めていました。
二人の話し合いでは、離婚届は4月に提出し、その後すぐに住宅ローンの借り換え手続きを進めるという流れが共通認識でした。そのため、公正証書にも借り換えは4月以降に進める内容が記載されていました。
だからこそ、離婚届が1月に提出されていたことを知ったとき、私は「離婚が成立しているのであれば、借り換えももっと早く進められたのではないか」と考え、元妻へ確認しました。
しかし、返ってきたのは「公正証書に記載した内容どおりに進めている」という回答でした。
公正証書には、「受験終了後から4月までに離婚する」と記載され、借り換えについても4月以降に進める内容になっていました。
※公正証書を作成したときの状況や、その内容については、こちらの記事で詳しく書いています。
→「公正証書を作成した日|離婚が現実として進んだ日」
私は、それらの内容を「4月に離婚し、その後に借り換えを進める」という前提で受け止めていました。一方で、文言だけを見ると、元妻の説明のような解釈もできる内容だったのだと思います。
そのとき私は、「二人で話して決めてきた内容よりも、公正証書の文言が優先された」という感覚を持ちました。正直に言えば、公正証書の文言を最大限に生かされたようにも感じました。
ただ、その公正証書に署名したのは私自身です。
今となっては、どちらが正しかったのかを争うつもりはありません。
この経験を通して学んだのは、話し合いで共通認識ができていると思っていても、それを契約書にどう書くか、そしてお互いが同じ解釈をしているかまで確認することの大切さでした。
自分から銀行へ確認して分かったこと
途中から私は、元妻だけに任せるのではなく、自分でも銀行へ確認するようにしました。
それまでのやり取りで、お互いの認識に少しずつずれが生じていると感じていたからです。手続きを確実に進めるためには、自分自身も正しい情報を把握する必要があると思いました。
銀行へ問い合わせても、個人情報のため元妻の審査状況を教えてもらうことはできませんでした。ただ、私は元妻から「借り換え審査には通った」と聞いていたため、そのことを銀行の担当者へ伝えました。
すると、借り換え審査に3〜4か月ほどかかるという説明は事実であることが分かりました。この点については、元妻から聞いていた内容と一致していました。
一方で、審査が終わっているのであれば、私から銀行へ完済の申し出を行うことや、抵当権抹消登記のために司法書士との日程調整、必要書類の準備など、自分が先に進められる手続きがあることも教えていただきました。
私は、元妻と手続きに関する情報を十分に共有できていないことを正直に伝えました。もちろん、銀行を当事者同士の問題に巻き込むつもりはありません。ただ、手続きを円滑に進めるために必要な事実だけを教えてほしいとお願いしました。
すると、その後まもなく銀行の担当者から、具体的な手続きについて連絡が入りました。
担当者は終始中立の立場で、手続きの流れや今後必要になることを丁寧に説明してくださいました。そのおかげで、私も自分が今やるべきことを把握でき、元妻とも必要な連絡を取りながら手続きを進めることができました。
もし私が何も確認せずに待っていただけだったら、手続きはもっと遅れていたかもしれません。
この経験を通して強く感じたのは、相手任せにせず、自分自身でも正しい情報を確認し、必要な場面では主体的に動くことの大切さでした。
完済までの銀行・司法書士との手続き
元妻の借り換え審査が終わると、いよいよ住宅ローン完済に向けた具体的な手続きが始まりました。
まず私から銀行へ住宅ローンの完済を申し込み、その後は司法書士との日程調整や必要書類の準備を進めました。印鑑証明書など、普段あまり取得する機会のない書類に加え、住所変更の手続きも必要でした。
登記変更については司法書士が担当し、銀行では住宅ローン完済の手続きを進めていただきました。私たちのマンションは敷地の権利関係から通常より登記費用が高くなるケースだったため、そこで初めて知ることも多くありました。
当日は銀行の担当者と司法書士、そして私の3人で手続きを行いました。
完済日に必要となる住宅ローンの残額は、元妻から私の口座へ振り込まれ、その資金が住宅ローンの完済に充てられる流れだと説明を受けました。あわせて、自分の口座に入っている預金が返済に充てられることはないことも確認し、安心したことを覚えています。
また、6月分の住宅ローンの支払いを終えてから完済日までに発生する利息について確認したところ、銀行の担当者から「その期間の利息は元妻に負担していただく形で調整します」と提案してくださいました。
私はその内容でお願いし、「もし了承いただけない場合は、その時点でご連絡ください」とお伝えしましたが、その後その内容で手続きは進みました。
通帳は完済日の記帳後に現在の住所へ郵送していただけることになっていたため、当日に銀行へ預けました。
手続き自体は20分ほどで終了しましたが、ここまで来るには長い時間がかかりました。
必要書類の準備、銀行での契約、司法書士との登記変更、そして住宅ローンの完済。
一つひとつは事務的な手続きでしたが、そのすべてが終わったとき、ようやく長かったペアローンの問題に一区切りがついたと感じました。
私の離婚が、本当の意味で終わった日
完済日当日、銀行からすべての手続きが無事に完了したという連絡を受けました。
後日、返送された通帳には住宅ローンの完済が記帳されていました。その一行を見た瞬間、「本当に終わったんだ」と、ようやく実感が湧いてきました。
公正証書を作成した日も、戸籍を取得して離婚を知った日も、私にとっては一つの区切りでした。
それでも私の中では、住んでいない家の住宅ローンという現実が残っていたため、どこか離婚が終わったとは思えずにいました。
だからこそ、住宅ローンが完済し、すべての手続きが終わったこの日が、私にとって本当の意味で離婚が終わった日だったのだと思います。
嬉しいという気持ちではありませんでした。
ただ、長い間背負っていた荷物をようやく下ろすことができたような、静かな安堵感だけが残っていました。
この日を境に、ようやく「終わった」と胸を張って言えるようになりました。
離婚は決して望んだ結末ではありませんでしたが、この一区切りがあったからこそ、私は少しずつ前を向き、自分の人生をもう一度歩き始めることができたのだと思います。
この経験で学んだこと
今回の経験を通して、私が学んだことは3つあります。
- 話し合いで決まっていると思っていても、認識はずれることがあるということ。
- 契約書や公正証書は、「こういう意味だと思っている」ではなく、お互いの認識が文書の内容と一致しているかまで確認することが大切だということ。
- 相手任せにせず、自分でも銀行などの関係者へ確認し、正しい情報を持つことが安心につながるということ。
正直に言えば、家を購入した当時の私は、ペアローンに何の不安も感じていませんでした。
離婚するなんて考えたこともなく、「ペアローンは離婚したときに揉める」「財産分与が複雑になる」といった話を見かけても、自分には関係のないことだと思っていました。
今は住宅価格も高騰し、ペアローンを選択する夫婦はこれからも増えていくと思います。もちろん、離婚することを前提に家を購入する人はいないでしょう。私自身、将来もう一度住宅を購入する機会があれば、ペアローンを検討する可能性もあります。
だからこそ伝えたいのは、「ペアローンは危ないからやめたほうがいい」ということではありません。
どれだけ仲の良い夫婦でも、「自分たちには関係ない」と思っていたことが現実になる可能性はゼロではないということです。
私の場合、財産分与で大きく揉めることはありませんでした。しかし、住宅ローンの進め方に対する認識の違いから、想定していたよりも長くローンの支払いが続くことになりました。
その間は、家賃と住宅ローンを二重に支払うことは避けたかったため、一度実家へ戻って生活していました。その影響で実家を出る時期は延び、思い描いていた人生設計も見直すことになりました。
もし離婚することになった場合は、住宅ローンをどうするのか、売却するのか、借り換えをするのかなど、今後の進め方について話し合うことになると思います。
その際は、「話し合ったから大丈夫」と考えるのではなく、お互いの認識が契約書や公正証書などの文書にも正しく反映されているかを確認することが、後から余計なトラブルを防ぐことにつながると私は感じました。
そして、もしこの記事が、離婚後の住宅ローンやペアローンの解消に悩む誰かの不安を少しでも軽くし、これから手続きを進める際の参考になれば幸いです。


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