養育費は、
取り決めをしていても
必ず支払われるとは限りません。
実際に、
途中で支払いが止まってしまったり、
そもそも取り決めがされていないケースも多くあります。
さらに、
制度としては整備が進んでいるものの、
現実には回収が難しい場面も少なくありません。
この記事では、
・養育費が支払われない現実
・支払われない場合の対処法
・2026年の法改正による変化
・保証サービスという選択肢
について、分かりやすく解説しています。
これから養育費について考える方の参考になれば幸いです。
養育費が払われないという現実
厚生労働省の調査によると、
養育費の取り決めをしている割合は、
母子世帯で46.7%、父子世帯で28.3%にとどまっています。
つまり、
そもそも半数以上の家庭では、
養育費の取り決め自体がされていないという現状があります。
さらに、
取り決めをしていたとしても、
必ずしも支払いが継続されるとは限りません。
母子世帯における養育費の受給状況は、以下の通りです。

養育費の受給状況(令和3年度・厚生労働省)
実際に、
母子世帯で養育費を現在も受け取れている割合は28.1%にとどまっており、
多くの家庭で継続的な支払いが行われていないことが分かります。
養育費の取り決めをしている世帯(母子世帯の46.7%)に限って見ても、
・現在も受け取れている:57.7%
・過去に受けたことがある:21.5%
・受けたことがない:19.2%
・不祥:1.5%
となっており、
取り決めをしていても、約4割は現在も受け取れていないという現実があります。
(出典:厚生労働省「令和3年度全国ひとり親世帯等調査」)
このように、
養育費については、
取り決めをすること自体にもハードルがあり、
さらにその後も継続して支払われるとは限らないという問題があります。
公正証書があっても安心とは限らない
公正証書を作成していれば、
強制執行という手段を取ることは可能です。
ただし、
それがあるからといって、
必ず回収できるわけではありません。
たとえば、
相手に収入がなかったり、
差し押さえられる財産がなかった場合、
実際には回収が難しいケースもあります。
強制執行は、
あくまで「回収する手段」があるというだけで、
支払いを保証するものではありません。
この点は、
誤解されやすい部分だと思います。
つまり、
公正証書はとても重要なものではあるものの、
それだけですべてが解決するわけではないということです。
こうした未払いリスクに備える手段として、
保証サービスを利用するという選択肢もあります。
だからこそ、
相手の状況や現実的な支払い能力も含めて、
冷静に判断する必要があります。
養育費が払われないときの対処法
養育費が支払われなくなった場合、
まずは当事者間での連絡や確認を行うことになります。
このとき重要なのは、
やり取りの記録を残しておくことです。
例えば、
・LINEやメールでの催促
・支払いに関するやり取りの履歴
・振込がなかった記録
こうした情報は、
後に調停や差押えなどの手続きを行う際に、
証拠として役立つ可能性があります。
ただし、
こうした連絡自体が大きな負担になるケースも少なくありません。
実際に、
養育費の取り決めがされていない理由として、
・相手と関わりたくない
・交渉がわずらわしい
・支払われないと思った
といった声も多く見られます。
つまり、
「連絡を取り続けなければいけないこと自体」が、大きなハードルになっているのが現実です。
そのため、
当事者間で解決できない場合には、
・家庭裁判所での調停
・強制執行(差押え)
といった手段を取ることになります。
さらに、
2026年4月の法改正により、
・先取特権の付与
・法定養育費の新設
・差押え手続きの簡素化
といった制度が整備され、
以前よりも回収に向けた手続きは取りやすくなっています。
ただし、
相手に収入や財産がなければ回収は難しく、
手続きにも時間や負担がかかるため、
現実的には簡単ではないケースも多いのが実情です。
法改正により変わってきた部分
2026年4月から施行された民法改正により、
養育費に関する制度は大きく見直されました。
主なポイントは以下の3つです。
| 項目 | 改正前 | 改正後 |
|---|---|---|
| 合意の実効性の向上 | 公正証書などの債務名義がないと強制執行できない | 私的な合意書があれば、子ども1人あたり月8万円を上限として給与等の差押えが可能 |
| 法定養育費の新設 | 決めていなければ請求不可 | 養育費の取り決めがなくても、養育費が決まるまで子ども1人あたり月2万円を暫定的に請求可能 |
| 裁判手続きの利便性向上 | 収入資料の開示が任意であり、養育費を決めるまでに時間がかかることがある | 地方裁判所への1回の申立てで、財産開示手続・情報提供命令・債権差押命令を一連で申請可能 |
① 合意の有効性の向上(先取特権の付与)
これまで養育費を差し押さえるためには、
公正証書や調停調書などの「債務名義」が必要でした。
しかし今回の改正により、
養育費に先取特権が認められたことで、
父母間で作成した合意書などに基づいて、
差押えができるケースが広がりました。
なお、
差押えできる金額には上限があり、
子ども1人あたり月額8万円までとされています。
② 法定養育費(暫定的な養育費)の新設
これまで養育費は、
当事者間で取り決めをしなければ請求することができませんでした。
今回の改正では、
取り決めがない場合でも、
「法定養育費」として一定額を請求できる制度が新設されています。
金額は子ども1人あたり月額2万円とされており、
この支払いが行われない場合には、
差押え手続きを取ることも可能です。
ただし、
これはあくまで暫定的な制度であり、
最終的には当事者間で適切な養育費を取り決める必要があります。
③ 裁判手続きの利便性向上
養育費の回収に関する手続きについても見直され、
これまで別々に申し立てる必要があった
・財産開示手続き
・情報提供命令
・債権差押命令
といった手続きが、
地方裁判所に対する一回の申し立てで、
一連の流れとして行えるようになりました。
これにより、
手続きの負担は軽減され、
回収までのハードルは下がっています。
このように、
制度としては大きく前進していますが、
すべてのケースで確実に回収できるわけではありません。
相手に収入や財産がなければ回収は難しく、
また、
上限があるため取り決めどおりの金額を回収できないケースもあります。
さらに、
これらの制度は法改正後のケースが前提となるため、
すでに離婚している場合などには
適用されない可能性もあります。
制度が整備されてきている一方で、
現実的な不安が完全になくなるわけではないのが実情です。
(出典:法務省「父母の離婚後の子の養育に関するルール」)
こうした制度の整備により、
養育費の回収手段は以前よりも広がっています。
ただし、
実際には手続きを自分で行う必要があり、
時間や負担がかかる点は変わりません。
そのため、
より確実性や安定性を求める場合には、
保証サービスを利用するという選択肢にも
一定の価値があると考えられます。
保証サービスという選択肢
ここまで見てきたように、
養育費については、
・取り決めをしていても支払われない可能性がある
・差押えなどの手続きには時間や負担がかかる
・相手の状況によっては回収が難しい
といった現実があります。
こうした背景から、
未払いに備える手段として、
保証サービスを利用するという選択肢があります。
保証サービスは、
養育費の支払いが滞った場合に、
保証会社が一定期間立て替えて支払う仕組みです。
その後、
保証会社が支払う側に対して請求を行うため、
受け取る側の負担を軽減することができます。
すべてのケースで完全にカバーできるわけではありませんが、
「支払われないかもしれない」という不安を
軽減できる点が大きな特徴です。
Casaの「養育費保証PLUS」とは
Casaの「養育費保証PLUS」は、
養育費の未払いに備えるための保証サービスです。
養育費の支払いが滞った場合、
保証会社が一定期間、養育費を立て替えて支払う仕組みになっています。
その後は、
保証会社が支払う側に対して請求を行うため、受け取る側が直接やり取りを続ける負担を減らすことができます。
また、
未払いが発生した場合でも、
一定期間は安定して養育費を受け取ることができるため、
生活の不安を軽減できる点が大きな特徴です。
一方で、
利用には審査や条件があり、
すべてのケースで利用できるわけではありません。
そのため、
サービスの内容をしっかり確認したうえで、
利用を検討することが大切です。
このサービスが向いている人
・養育費の未払いに不安がある人
・相手と連絡を取り続けることに負担を感じている人
・安定して養育費を受け取りたい人
・法的手続きに時間や労力をかけたくない人
こうした方にとっては、
一つの現実的な選択肢になるサービスだと思います。
まとめ
養育費については、
・取り決めをしていないケースが多い
・取り決めをしても支払われないことがある
・制度が整ってきている一方で、現実的な限界もある
といった現状があります。
2026年4月の法改正により、
回収手段は以前よりも広がりましたが、
それだけで確実に支払いが担保されるわけではありません。
実際には、
相手の収入や状況に左右される部分も大きく、
不安が残るケースも少なくありません。
だからこそ、
こうした現実を踏まえたうえで、
自分にとって無理のない方法を選ぶことが重要だと思います。
また、強制執行を行うためには、
養育費の取り決め内容が記載された文書があることが前提となります。
そのため、離婚時には養育費をしっかり決め、口約束で終わらせるのではなく、公正証書などの形で取り決めを残しておくことが重要です。
養育費は親同士の問題ではなく、
子どもの生活を支えるための大切なお金です。
将来のトラブルを防ぐためにも、
確実に受け取れる形を整えておくことが大切だといえるでしょう。
その一つの選択肢として、
保証サービスの利用を検討するのもよいかもしれません。
今回紹介した内容が、
これから養育費について考える方の参考になれば幸いです。
私自身も、養育費について公正証書を作成しました。
そのときに感じたことや、
実際の流れについては別の記事でまとめていますので、
これから検討される方の参考になればと思います。
▶ 公正証書の作成について体系的に知りたい方はこちら
・離婚の公正証書とは?作成の流れと注意点を実体験で解説
▶ 実際の流れや心境を知りたい方はこちら
・公正証書の話が出た日
・公正証書の内容を見た日|納得できなかった条件とその判断
・公正証書を作成した日|離婚が現実として進んだ日


コメント